ミステリー

映画「容疑者Xの献身」感想:原作でわかるトリックのすごさとは?

今回は2008年の映画「容疑者Xの献身」について感想を語りたいと思います。

2007年のテレビシリーズの翌年に公開されており、劇場版第一作にあたります。

ガリレオシリーズの中では最高傑作とも言われています。

次作の「真夏の方程式」については以前に記事にしていますので、合わせて見てもらえればと思います。

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今回は感想を述べつつ、原作との比較をしています。

私が原作を読んでよくできたトリックだなー!と思った部分が映画で説明がなかったため、詳しく説明したいと思います。

この部分は真相に関わるネタバレになるため、念のため記事を折りたたんでおきます。映画・原作をまだ知らない方は読み飛ばしてもらえたらと思います。

概要

監督:西谷弘 脚本:福田靖 原作:東野圭吾
出演:、松雪泰子、堤真一

原作はミステリー作家の代表である東野圭吾さんの同名小説です。

西谷監督はガリレオシリーズをずっと担当されている方です。

レギュラーキャストの湯川、内海、草薙役の福山雅治さん、柴咲コウさん、北村一輝さんはテレビシリーズから続投となっています。

またこの作品は日本アカデミー賞で数々の賞を受賞しています。

この情報だけでもかなり期待できそうだと思えますね。

あらすじ

2人暮らしをする花岡靖子・美里親子のもとに、靖子の元夫である富樫慎二がやってきます。

金に苦しんでいた富樫は、家を突き止め2人を利用しようとしていました。

身の危険を感じた靖子と美里は富樫の首を絞めると死んでしまいますが、直後に物音に気がついた隣人の石神が2人を訪ねてきます。

後日発見された男性の遺体の身元を富樫と割り出した警察が花岡親子のもとにやってきますが、2人には事件当日にアリバイがありました。

実は石神が2人に手を貸し、裏で警察への対応について指示しているのでした。

そんな中、内海たちから事件の話を聞いた湯川は、捜査で聞き込みをされた石神が大学時代の友人であると確信し、彼のもとを訪れます。

人物相関図

今回の主要登場人物とその関係は、図のとおりになります。ちなみに美里と富樫に血のつながりはありません。

映画容疑者xの献身 人物相関図
 

作品の魅力

事件の真相に驚愕

この話は富樫殺害の犯人が花岡親子であること、石神が2人に手を貸していることは視聴者にわかっています。

そのためアリバイのトリックが大きな謎なのですが、これがなんともよくできています。

トリックそのものよりも、それ普通は実行できなくない?って感じでの驚きです。

石神の思いと結末に涙…

石神は完璧に花岡親子を守りきるのですが…そこにはある強い思いがありました。

靖子が最後の場面で駆け込んでくる場面はもう涙腺崩壊です。

うわあああって感じです。

主題歌「最愛」にまた涙…

主題歌を歌うのはKOH+名義の柴咲コウさんです。

この「最愛」の歌詞がこの事件の石神の思いに最高にマッチしているんですよね。

涙腺決壊、大洪水になりました。

原作既読にもかかわらずこのざまです。どんだけこの話に感情移入してるんでしょう。

できれば入れてほしかった!原作との相違点

内海刑事はテレビシリーズと同様、原作には出てきません(後の話では原作に逆輸入されて登場するそうです)。また登山の場面も映画オリジナルです。

ここでは特に私が入れてほしかった、話に関わる相違点を挙げてみます。

①トリックが見破られにくい仕掛け

警察は花岡親子のアリバイを崩せなかったため、富樫は借金絡みの組織犯罪に巻き込まれたと推測し、捜査方針が切り替わります。

しかし原作では富樫殺害の有力容疑者は靖子だけであり、アリバイを崩せないまま捜査は難航します。

実はアリバイを崩せないのには人間の心理を利用した理由があります。

幾何の問題に見せかけて実は関数の問題、つまり当日のアリバイ崩しの問題に見せかけて実は死体の身元が間違っているという問題に、石神は気づかせたくありません。

そのためにあえて中途半端なアリバイを用意するという手法をとっています。

例えば事件の時間ぴったりにラーメン屋に行って他人に目撃させれば、完璧なアリバイを用意することができました。

しかしそうすると視点を変えられトリックを見破られる隙を与えてしまいます。

そのためあえて中途半端なアリバイ(映画の半券や美里の友人の証言など)としたことで、警察はなんとかすれば崩せそうな当日のアリバイを崩そうと躍起になります。

本当にその日は実際に映画に行っているので崩せるわけがないんですけどね。

映画容疑者xの献身 トリックの仕掛け説明図
 顔がつぶされている死体や焼死体が実は別人だったというトリックは、ミステリーの王道パターンです。

私はミステリーにある程度触れているにもかかわらず、原作を読んで普通にだまされてしまいました。

この部分が本当にすごいなと思った部分だったので、欲を言えば少し説明してくれたらよかったのに…と思ってしまいました。

ただ、映画としては情報を詰め込みすぎなかったことで、話をすっきりさせることができたのだろうとも思います。

②最後の美里の場面

美里は自分が犯した罪の意識に耐えられず、学校でリストカットをしてしまいます。

その知らせを聞いた靖子が最後に警察のもとに駆け込んでくるのです。

ここも花岡親子が今後抱え続けるであろう苦しみをよく表している場面になるため、あった方がよかったかなと思いました。

みんなの感想は?

高評価の意見:

最高傑作、切ない、泣いた、堤真一が素晴らしい、すべてが完璧

低評価の意見:

陰気臭い、犯罪行為を美談と思わせてはいけない

石神役の堤真一さんを褒めるコメントが特に多かったです。

逆にレギュラーメンバーの存在感がかすんだ印象でした。

トリックの矛盾や設定への批判はミステリーにはどれもあるかと思うのでしょうがないですね。

総合評価:★★★★★

私の評価は満点です。

小説が原作の映画化はどうしてもカットが必要になったりアレンジが加えられて批判されることも多いのですが、この映画では人間模様にうまく焦点が当てられており原作の持ち味がしっかり生かされていたと思われます。

東野圭吾さんの作品が好きだ、泣けるミステリーが見たい!という方にはピッタリです。

堤真一さんや松雪泰子さんの演技も素晴らしかったので、原作だけ読んだという方も一見の価値ありかと思います。

まだ見ていない方は是非、休日のおともにご覧いただければと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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